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運送委託管理費の一方的減額

独占禁止法

当社は運送会社を営んでおり,取引先の中にはある大手小売会社がいるのですが,その大手小売会社との契約では運送代金のほかに「管理費」という名目で費用を受け取っています。
この管理費は実質的には運送代金と変わりないものなのですが,このたび,その大手小売会社が,管理費の減額を通告してきました。これを断ると運送契約を更新しないというようなこともいわれており,当社としては非常に困っているのですが,何か対応はできないでしょうか。

継続的な契約関係がある中でも,当事者間で価格交渉が行われることは自然なことであり,一方から代金減額の申入れがなされることも本来それ自体は不当なことではありません。
しかし,契約当事者の力関係に大きな差があって,その力関係を背景にして不当な要求がなされているような場合であれば,それは独禁法上の「不公正な取引方法」にあたるものとして違法となることもあります。

具体的には,荷主と運送会社との間の力関係に差がある場合において運送会社の利益を保護するための規制として独禁法2条9項6号に基づき「物流特殊指定」が定められています。
例えば,貴社の資本金が1000万円以下であって荷主の資本金が1000万円を超える場合には物流特殊指定の適用があります。貴社の資本金が1000万円を超えていても,3億円以下にとどまっていれば,資本金が3億円を超える荷主との契約については物流特殊指定が適用されます。
物流特殊指定においては,運送会社に責任がないにもかかわらず契約期間中に一方的に代金を減額することや,代金減額の要求を断ったことを理由に契約を打ち切るなどの不利益な取扱をすることなどが禁止されています。

また,物流特殊指定の形式要件にあてはまらない場合であっても,荷主が貴社との取引上「優越的な地位」にあると認められる場合には,荷主が貴社に対して「正常な商慣習に照らして不当に」不利益を与えることは優越的地位の濫用(独禁法2条9項5号)にあたり,これも違法となります。

貴社と荷主の規模や取引上の力関係によっては,上記の「物流特殊指定」や「優越的地位の濫用」にあたる可能性がありますので,まずはその旨を荷主に伝えて対抗していくことが考えられます。
また,直接交渉するのではなく,公正取引委員会に事実申告をして相談し,指導・勧告や排除措置命令等の適切な措置を取ってもらうという対応もあり得ると思います。

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