商業ビルのリニューアルに伴う営業補償義務の有無
2019.04.25
現在,自社が運営する商業ビルの中でテナントに営業を行わせることを考えているのですが,将来的に,建物のリニューアルを考えています。リニューアルに伴い,商業ビルを一時的に閉館し,その間,テナントの営業ができなくなった場合,弊社はテナントに対して,その間の営業補償をする必要があるのでしょうか。あらかじめ契約書で定めておいた方がよい事項があれば,教えてください。
貴社は,テナントとの契約に基づき,テナントに対し,契約で定めた場所において,テナントが営業をできるようにする,という債務を負うことになります。
よって,建物のリニューアルによって建物を一時的に閉館し,テナントの営業が不可能となれば,貴社はこの債務を履行していないこととなり,債務不履行責任を問われる可能性があります。この場合,貴社は,テナントに対する損害を賠償しなければならないのが原則です(民法415条)。
もっとも,民法415条は任意規定ですので,当事者が別の定めをすれば,これを排除することができます。
つまり,契約書において,建物のリニューアルのために建物を一時的に閉鎖しなければならない場合には,テナントが営業できない状況となったとしても,貴社は責任を負わない旨の条項を定めておけば,ケースバイケースではありますが,貴社はテナントに対し,営業補償をしなくてもよい場合があります。