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契約期間中途解約による違約金請求の限度

企業法務一般、顧問契約

当社は,昨年4月に当社所有不動産であるビルの一室をA社に賃貸しましたが,2年目を迎えた本年9月に,来年3月末での解約の申し出を受けました。
賃貸借契約書上,契約期間は昨年4月から5年間とされているのですが,賃借人からの中途解約については契約残期間の賃料相当額を違約金として支払わなくてはならないという内容が定められています。当社としては,この契約内容に従い,A社から申し出があった解約以降契約期間満了までの3年間分の賃料相当額を違約金として請求する予定です。
違約金請求額は相当の高額になりますが,このような請求に問題はないでしょうか。

貴社が予定している請求内容は賃貸借契約に則ったものであり,原則的には適法です。
この契約は事業者同士の契約であって消費者保護のような観点は必要ないため,契約自由の原則がそのまま妥当しますし,契約内容を理解したうえでビジネスとして契約をしているのですから,仮に高額の違約金を負担するとしても自己責任というのが原則です。
しかし,違約金の本来的な趣旨は中途解約によって賃貸人側に生じる損失の填補ですので,通常想定される損害の範囲をあまりに逸脱するような高額の違約金となってしまう場合には,契約の定めが公序良俗違反として一部無効となってしまう可能性はあり得ます。
この点に関する参考裁判例として,東京地裁平成8年8月22日判決があります。この判決の事案は契約期間4年間の賃貸借契約を契約後10カ月で解約した賃借人に対して賃貸人が契約に則って残期間3年2か月分の賃料・共益費相当額を違約金として請求したというものですが,この事案において,東京地裁は,「違約金条項のうち,1年分の賃料・共益費の金額を超える部分は公序良俗違反により無効」と判断し,違約金請求を1年分の限度で認めました。中途解約がなされた場合に賃貸人に生じる損害は次のテナントが決まるまでの空白期間の賃料を得られなくなってしまうことにありますが,この判決は,当該事案で次のテナントが決まるまでに通常要する期間としてはせいぜい1年間程度だ,その期間を超えるような金額の違約金請求は過大だ,という判断をしたものだと思われます。
翻って本件をみれば,裁判となった場合に,同じように3年間分の賃料相当額の違約金請求が過大だと判断され,違約金として認められる金額が一部に限定されてしまうというリスクはあるといわざるを得ないものと思います。
もっとも,貴社の請求自体は契約書に基づくものであってそれ自体非難されるいわれのないものですし,違約金が過大かどうかというのは事案に即したケースバイケースの判断になりますので,貴社の立場においてこのような請求すること自体には問題はないものと考えます。
ただし,もし賃借人側から公序良俗違反の問題を持ち出されて違約金の支払を拒まれるような展開となってしまったときには,裁判になった場合に減額の可能性があるということを踏まえて金額的な譲歩を検討する,ということが経営判断として必要になってくるものと思います。

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