夫から離婚調停を申し立てられた依頼者について,自己破産により債務の問題を解決したうえで離婚調停を成立させることで,離婚後の生活を維持することができた事案
2023.08.25
事案概要
- 依頼者は,夫との間に4名の未成年子を抱え,夫の収入を補うためにパートをしながら,育児・家事をこなす生活をしていたが,子らの教育費等がかさみ,足りない費用を借入れで補うようになった。そのような生活を続ける中で,夫婦関係は悪化し,夫は依頼者だけでなく子供にも辛くあたるようになり,最終的には夫から依頼者に対して離婚調停の申し立てがなされた。依頼者は,夫と離婚したいという気持ちはあるものの,夫婦の財産としては夫名義の住宅ローン付の持家があるのみで,預貯金も全くなく借金だけがあるような状態であったため,離婚後の生活に対する経済的不安から,離婚に踏み切ることもできず,当事務所に夫との関係の問題の解決を相談・依頼するに至った。
解決結果
依頼者から事情と意向を聴き取った結果,最終的には離婚に応じることが望ましいものの,借金が残った状態で離婚をした場合には離婚後の生活の目途が全く立たないことから,まずは破産の申立をして借金を整理することとし,離婚調停については借金の整理を終えるまでは結論を出さずに先延ばしにするという方針とした。
そして,受任後,約半年程度で破産手続を完了し,依頼者の借金については全て整理をすることができた。
その後,離婚調停手続を通じて,あらためて夫との間で離婚条件についての協議を進めたところ,持家について依頼者が夫から名義の変更を受けて単独の所有者となり,子供たちと居住を続けながら,離婚後のローンについては事実上依頼者が夫に代わって支払いを続けるという内容で財産分与の協議を調えることができた。また,婚姻費用についても,相場よりも相当程度高い金額で夫との合意が整い,離婚後も依頼者と子供たちが生活を維持できるような内容で,無事離婚調停を成立させることができた。