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コロナ禍を踏まえた賞与の不支給の可否

企業法務一般、顧問契約 人事労務問題

当社は,年に2回賞与を支給しており,10月1日から翌3月31日までを考課の対象期間として,7月に夏期賞与を支給しています。
賞与の支給額は毎年業績によって増減しますが,過去に全く賞与を支給しなかったということはありません。
また,就業規則上も,「会社の業績と対象期間の考課を踏まえて会社の裁量によって賞与を支給する」という趣旨の記載とはなっていますが,「支給しないことがある」ということをはっきり書いてある条文はありません。
そんな中,今般のコロナ禍により,当社も非常に深刻な経済的打撃を受け,今夏には損益も大幅な赤字となり,財政基盤もかなり毀損してしまいました。このような事情から,ついに今年の夏期賞与は不支給とせざるを得ないのではないかと考えております。
ただし,当社も今年の3月末まではなんとか黒字を維持していたので,3月末までを対象期間とする夏季賞与を不支給とすることが許されるのか,自信をもって判断ができません。これまでの支給実績や就業規則の記載に照らして,果たして従業員の納得を得られるのかという懸念もあります。
このような状況で夏季賞与を不支給とすることに法的な問題はあるでしょうか。

賞与の支給に関しては,第一次的にはそれぞれの会社の就業規則・給与計算規則等の記載内容に基づいて規律されることになりますが,一般論として,支給の決定については会社の裁量権が認められています。
賞与の算定基準・支給額等が明文の規定として定められている場合,あるいはこれに代わるような労使慣行が認められる場合には,当該規定・労使慣行の範囲内において,会社による賞与支給の決定を待たずに労働者の賞与請求権が具体的な権利として認められる場合もあり得るところですが,そうでなければ,基本的には会社の支給決定によりはじめて労働者の権利が生じるということになります。
この点については,最高裁でも,労働者が会社に賞与を請求した事案において,「賞与の支給につき具体的な算定方法の定めや労使慣行が存在しない以上,従前の支給実績に基づいて具体的な請求権が発生するわけではなく,使用者が支給額を定めることによって 賞与請求権が発生する」として,労働者の請求を棄却する判断をして います(最判平成19年12月18日)。
このような観点から御社のケースをみた場合,規則上は賞与の算定基準・支給額が具体的に確定しているわけでもありませんし,これに代わるような労使慣行があるともいえないものと思います。賞与を不支給としたことはないといっても,賞与支給額は業績に応じて増減しており,確定的な権利として賞与が保証されてきたとまでは認められません。
また,考課の対象期間としては3月末までと定められていたとしても,賞与の支給はあくまで会社の裁量によるものとされており,実際の賞与支給時期までに会社の業績の変動があった場合に,その後の業績変動を考慮して賞与支給の決定を行うことは何ら否定されないものと考えられます。
御社がコロナ禍により深刻な経済的打撃を受けていることからすれば,これを理由に夏季賞与を不支給とすることには相応の合理性があるものと思いますし,賞与を不支給とすることも裁量の範囲内として認められる可能性が高いものと考えます。

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