法人を主たる債務者とする連帯保証人として,自身が保証債務を履行した場合に,主たる債務者たる法人が解散してしまっていて求償できないときに,他の連帯保証人に対して自己の負担部分を超えて求償できた事例
2025.01.23
事案概要
- 依頼者は,法人の連帯保証をしていたところ,法人がみなし解散してしまい,事実上法人に求償できないという状況で,当該法人の役員であった他の連帯保証人が破産手続きに入った。自分では手続きがよくわからなかったので,当事務所に債権届出代理を依頼するに至った。
解決結果
通常であれば保証人が保証債務を履行した場合には,主たる債務者に求償するものであるところ,本件では主たる債務者である法人がみなし解散(会社法472条1項)となっており,求償できない状態であった。そうなると,当該法人の役員であった他の連帯保証人に求償することが考えられるところ,民法465条1項に従い「自己の負担部分を超える額」に付いてしか他の連帯保証人には求償できないのが原則となる。そうすると,届出債権の額もそれほど高額にならない状況であった。
しかし,東京高等裁判所平成11年11月29日判決(判例時報1714号65頁)によると,要旨,同項が自己の負担部分を超えた部分のみ求償を認めているのは最終的に主債務者に対して求償できるからであり,主債務者が無資力である場合には各連帯保証人の公平を図るという見地から例外的に民法444条を準用し,絶対的な負担額の超過額ではなく,負担部分に比例する負担割合に応じた金額を求償できると判示していることから,当該裁判例に従い,破産管財人に対して債権を届け出たところ,履行した保証債務の半分の金額について届出債権として認められることとなった。
その後は,破産手続の中でその届出債権に基づき按分された配当を受けることができた。