劇場型詐欺による預金の引き出し被害について,銀行から補填を受けられた事例
2024.09.26
訴訟・紛争解決
事案概要
- 依頼者は,ご高齢の一人暮らしで,ある日警察官を名乗る人物から,「あなたの銀行口座から不正に出金されている。キャッシュカードを封筒に入れる対応が必要である。部下を向かわせるので指示に従って家に保管しておく対応をしてほしい。」という電話を受けた直後,警察官を名乗る人物が自宅を訪れた。
警察官を名乗る人物は,玄関口で依頼者にキャッシュカードを封筒へと入れさせた後,「封筒に押印する必要があるので,印鑑はありますか。」と言い,依頼者が印鑑を取りに居間に戻っている隙に,トランプカードが入っている封筒とキャッシュカードが入っている封筒を入れ替える方法でキャッシュカードを持ち去った。
その後、当該キャッシュカードを利用され合計数百万円の預貯金が引き出されたが、暗証番号をどのようにして知ったのかは不明であった。
窃取されたカードは3枚で,それぞれ別の銀行のものであって,ある銀行からは法律や規約に基づき被害金を補填する対応を受けられたが,それ以外の2つの銀行からは特にそのような対応はなされなかったことから,弁護士に相談の上,当該2つの銀行に対する交渉について依頼するに至った。
解決結果
預金者保護法では,カードが窃取され,不正に出金された場合には,その補填を金融機関に求めることができる旨規定されていることから,同法に基づき各金融機関と交渉したところ,片方の銀行からは支払いを拒否されたものの,もう一方の銀行は補填に応じてくれる結果となり,被害金額の4分の3である150万円の補填を受けることができた。