代休の付与と休日割増賃金
2020.04.01
1 当社の就業規則では,社員が休日労働をした場合,事後的に代休を与えることになっているのですが,代休を与えた場合でも休日割増賃金の支払をする必要はあるのでしょうか。
2 社員の休日出勤が午前中の4時間だけで終わったような場合には,代休も1日ではなく半日にすることでよいでしょうか。
3 社員の休日出勤が丸1日に及んだ場合でも,仕事の都合を考慮して,振替休日を半日単位に分けて与えることができるでしょうか。
1 たとえ事後的に代休を与えたとしても,社員が休日労働をしたという事実は変わりありませんので,休日労働時間については法定の割増率(0.35)以上の割合で割増をした休日割増賃金を支払う必要があります。
ただ,事後的に代休を与えれば,代休日は休日となって賃金を支払う必要がなくなりますので,結論としては,通常の賃金に加えて休日労働時間の割増部分だけを支払えばよいことになります。たとえば,時給換算で1500円相当の社員が8時間の休日労働をした場合,代休を与えなければ,通常の給与に加えて1500円×1.35×8時間=16200円の割増賃金を支払う必要がありますが,代休を与えた場合は,結論として通常の給与に加えて1500円×0.35×8時間=4200円の割増賃金を支払えばよいということになります。
なお,事後的に代休を与えるのではなく,実際に休日労働をする前に休日の振替を行った場合には,基本的にその日の社員の労働はそもそも休日労働ではないということになりますので,割増賃金の支払自体が不要となります(ただし,休日の事前振替の制度を就業規則において適切に定めておくことが前提です)。
2 代休を与える場合のルールが法律上定められているわけではありませんので,休日出勤が午前中4時間で終わった場合に,代休を半日分付与するという取扱自体に問題はありません。この場合も,結論として4時間分の割増部分の賃金を支払う必要があることは変わりありません。
3 上記のとおり,代休を与える場合のルールが法律上定められているわけではありませんから,1日分の休日出勤に対して,半日単位に分けて代休を付与することも可能です。
ただし,半休を2回分付与されるよりも丸1日の休みをもらった方がありがたいという社員の方が多いようにも思いますので,社員の希望にかかわらず会社の判断で代休を分割したいということであれば,「会社の判断により代休を分割して与えることができる」ということを就業規則に明記しておいた方がよいと思います。
いずれにしても,結論として実際の休日労働時間に応じた割増部分の賃金を支払う必要があるという点は変わりありません。