給与計算を間違っていたことが発覚した場合の精算
2019.04.03
給与計算を間違って支払っていた場合,過去の給与も精算しなくてはなりませんか。精算が必要だとすると,どこまで遡る必要がありますか。
給与計算に誤りがあったのであれば,給与の未払いまたは過払いが生じていることになりますので,過去に遡って精算することが必要です。
遡る期間については,消滅時効期間を経過しているかどうかで判断します。法文の条文に忠実に解釈すると,給与を多く払ってしまっていた場合は,不当利得になりますので,過払いの事実を知った時から5年,過払いの時から10年のいずれかが経過するまでは返還請求ができることになります(平成29年民法改正施行日令和2年4月1日より後に生じた債権の場合。改正前にすでに生じていた過払い給与については10年。)。
一方,少なく支払っていた場合は,未払の給与があるということになります。平成29年の民法改正に合わせて給与債権の消滅時効期間が2年から5年となりましたが,改正に伴う経過措置として,当面の間は消滅時効期間が3年間となるため,支払義務は3年分に留まることになります。
なお,退職手当の消滅時効については改正に伴う変更はなく5年間となっておりますので,退職から5年間は支払義務が生じることとなります。