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企業法務Q&A例 企業法務Q&A例

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始業時間や終業時間を労働者による手書きで記録させる場合の問題点

人事労務問題

手書きで始業時間・終業時間を労働者自らに記載させて労働時間を把握することに法的な問題がありますか。

厚生労働省の定めるガイドラインや裁判例では,紙媒体などで自己申告により始業・終業時間の確認を行うことは,労働時間の把握の方法としては例外的なものと位置づけられています。

同ガイドラインでは,自己申告制により行わざるをえない場合の講ずべき措置が定められていますので,当該措置を遵守することが必要となります。

1 行政の指針

厚生労働省が公表する「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべきガイドライン」では,使用者が始業・終業時刻を確認し,記録する原則的な方法として,①使用者が,自ら現認することにより確認し,記録すること,又は②タイムカード,ICカード,パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し,適正に記録すること,のいずれかの方法によることとされています。

エクセルファイルや紙媒体などで自己申告により始業・終業時間の確認を行うことは,これを「行わざるを得ない場合」の例外的な方法と位置づけられていますので,自己申告制を行わざるをえないか否かを検討し,外部に説明できるように準備しておくことが望ましいと考えます。

自己申告制を採用する場合,①自己申告制を導入する前に,その対象となる労働者及び労働時間の管理者に対して,労働時間の実態を正しく記録し,適正に自己申告を行うことについて十分な説明を行うこと,②自己申告により把握した労働時間と,入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し,所要の労働時間の補正をすること,③使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。

さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず,記録上これを守っているようにすることが,労働者等において慣習的に行われていないか確認すること等の対応が求められます。

2 裁判例

タイムカード制を採用せず,所定始業・退勤を基本に出退勤時間を把握し,申告残業がある場合にのみその時間を加算させていた事案で,東京地方裁判所(平成15年5月19日判決)は,「使用者には,原則として自ら始業終業の確認をし,又はタイムカード等の客観的記録で確認し,記録を残す義務がある」として,「(ア)労働者に十分な説明をすること,(イ)自己申告した時間と実際の時間が合致しているか実態調査を行うこと,(ウ)残業労働時間数の上限を設定したり,削減の指導をしたりすることによって,適正な申告を阻害することになっていないか確認し,改善措置を講じること,が欠かせない」と,上記厚生労働省のガイドラインと同様の判示を行っています。

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