身元保証人の要件に制限を加えることの可否
2018.12.26
当社は身元保証人となることができる人物を制限しようと考えていますが,このようなことは可能でしょうか。
また,身元保証について留意することがあれば教えてください。
どのような人物を身元保証人として認めるか,証明書類等を求めることが可能かは法令上の規制はありませんので,身元保証を取得する目的に照らして合理的な制限を就業規則等で定めることは可能です。
ただ,身元保証による損害の填補には限界があります。
また,根本的に,雇用の当否は,当該従業員自身に対する人格等の信頼の有無により判断されるべきであって,身元保証制度の適用場面となる当該従業員の不始末による損害も,本来は,当該従業員を選定した会社が負担すべきリスクともいえます。
そのような観点からは,第三者にリスクのみを負担させるということ自体,あまり適切ではない面もあります。 このような発想から,実際の裁判例でも,身元保証人に対する責任追及の範囲を限定しているものが少なからず存在します。
なお,2020年4月1日から施行された改正民法においては,身元保証人が保証する極度額が身元保証契約書に記載されなければ身元保証契約は無効とされることになりますので注意が必要です。