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従業員から退職願が提出された後の懲戒処分

人事労務問題

懲戒処分事由に該当する従業員が,処分決定前に退職願を提出しました。退職願を受理せずに懲戒処分をすることはできませんか。

従業員から提出された「退職願」をどう法的に位置づけるかによって結論が変わりうるところですが,当該書面の内容を合意解約の申し入れと取り扱えば,退職願を受理しないこと,すなわち合意解約の申入れを拒否することも可能となります。

他方,その「退職願」が従業員による単独行為としての辞職の意思表示と取り扱えば,これを受け取った会社側に選択の余地はなく,民法626条または627条に基づく所定期間(無期雇用の場合の原則は2週間)を経過した時点で法的に退職の効力が発生することになります。

「受理しないことが可能か」という点については,退職願が上記いずれにあたるかというポイントで結論が変わることになり,ケースバイケースの判断となりますが,懲戒事由に該当する従業員が駆け込み的に退職願を出してきたという点からすると,一方的な辞職の意思表示と解釈されるケースが多いように思います。

また,「懲戒処分ができるか」という点については,当該従業員が在職している間であれば,就業規則等に即した適切な手続を踏んで処分を行うことは可能です。

退職願の法的性質が上記いずれにあたる場合であっても,退職の効力が発生する前に処分を行えば基本的に有効なのですが,処分にあたっては必要性と相当性を考慮し,拙速な処分とならないよう留意する必要があります。

なお,このようなケースは,実務上,就業規則に「懲戒解雇の場合には退職金を支給しない」という規程がある会社において,自主退職しようとしている従業員について退職金の支給をいかに回避するかという観点で問題となることが多いところです。

懲戒処分前の駆け込み的な自主退職は一般的にも十分ありうる事態ですから,そもそもの対策としては,「懲戒解雇の場合」に限らず,「懲戒解雇に相当する懲戒事由がある場合」にも退職金を不支給とすることができるよう,就業規則の定めを整備しておくことが重要です。

また,退職金の支払時期についても,ある程度の事実調査のうえで支給の要否を判断できるよう,一定の期間的な余裕をみて設定しておくことが望ましいと考えます。

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