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企業法務Q&A例 企業法務Q&A例

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配置転換の有効性,方法及び退職の申し出があった場合の離職理由

人事労務問題

当社株式会社Aは10年前にBを正社員(総合職)として採用しました。
Bは研究技術部に配属され,10年にわたり勤務を続けて参りました。
この度当社の財務状況が悪化したため,合理化を図り,また営業強化のため,Bに営業部への異動を命じました。
しかし,Bはこれに承諾せず,営業部への異動を拒否しております。営業部に行くのであれば退職もやむを得ないといっております。
1 当社はBの意思に反する営業部への異動をさせることができるのでしょうか。なお,同じ事業所内での異動であり勤務地の変更はありません。
2 できるといっても,どのような方法があるのでしょうか。
3 Bが退職した場合,離職票上,自己都合退職として取り扱うことは問題ないでしょうか。Bは当社の都合による配転であり,それに応ぜず退職したのであるから,会社都合退職として取り扱って欲しいと言っております。

1 原則として,A社のBに対する異動命令(いわゆる配置転換命令)はできると考えられます。
解雇処分と比較すると,配置転換命令については会社に広範な裁量があると考えられております。
まず,就業規則等により配置転換命令を認める定めがあることが必要ですが,多くの企業の就業規則においては定めを置いているものと考えられます。念のためご確認ください。
次に,雇用契約において,仕事内容や勤務地が限定されていると認められる場合には,その範囲を超えて配置転換命令を出すことはできません。実態として業務や勤務地が固定的な職場であっても,雇用契約書や就業規則上はむしろ異動の可能性を認めている方が事例としては多いと思われ,上記限定のある契約と認定されるケースはさほど多くはないと考えられます。
また,業務上の必要性がない場合や,業務上の必要性がある場合であっても会社が他の不当な動機・目的をもって行ったとき,あるいは従業員に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときなどの特段の事情のあるときには,例外的に,配置転換命令権の濫用となり認められないことになります。本件では,業務上の必要性があり,特に不当な動機・目的はなく,勤務地の変更など私生活への影響が著しい事情まではないと考えられます。

2 上記1の各点を考慮し異動命令が有効と考えられる場合,書面によりBに異動命令の通知をすることになると考えます。その上で,A社がBと真摯に協議を重ねたにも関わらず,事実上,Bが異動に応じなかったときには,就業規則に基づき,業務命令違反や正当な理由のない欠勤を根拠として,懲戒処分や場合によっては解雇が認められることもあると考えます。

3 前提として,離職票上の離職理由の記載に応じて,離職者の失業保険の受給期間や待機期間に違いを生じます。会社都合退職や一部の正当な理由のある自己都合退職(以下,「会社都合退職等」と省略します。)にあたる離職理由となると,離職者が失業保険の受給において保護されておりますので,従業員からご質問のような求めを受ける場合があります。会社としては,会社都合退職等の離職者が生じると,助成金の受給において一定の制限が生じる場合があります。
上記1の配置転換命令の有効性とは別の論点となりますので,配置転換命令が有効であっても,事例によっては会社都合退職等としなければならない場合もありうるところと考えます。
例えば,厚生労働省・労働局・ハローワークが示す判断基準において,採用時に職種限定がなかった従業員であっても10年以上にわたって同一の職種に従事していた者について,配置転換の際に,十分な教育訓練を行わなかったことにより,従業員が専門的知識や技能を発揮できる機会を失い,新たな職種に適応することが困難なため離職した場合には該当するとされております。(このほか,通勤が極めて困難になる場合,賃金の低下を伴う場合,家族との別居を伴う場合なども例示されております。)
本件では,A社において異動に際してBが新たな職種に適応できるよう一定の配慮を行い,あるいは行う計画等を示した上でもなおBが離職するということであれば,会社都合退職等ではなく純粋な自己都合退職と取り扱うことで問題ないものと考えます。

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