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過誤払金返還請求権の消滅時効

企業法務一般、顧問契約

当社A社は,不動産賃貸業を業とする株式会社です。今般,最近賃貸したテナントの水道料金について,当社のミスにより過剰請求していることが判明しました。
水道メーターは当社が一括管理しており,テナントが見ることはできませんので,テナント側で当社の請求が誤請求であることを知ることは不可能と思います。
この状況下で,現在までに発生した水道料金の誤請求額を返還するとした場合,いつまでの分を返還する必要があるのでしょうか。

結論
テナントが水道料金の過剰分を支払った時から10年を経過していない分については,返還すべきと考えます。

理由
テナントは,A社に支払義務がないにもかかわらず水道料金を過剰に支払っていたことになりますので,支払った時点で,A社に対する不当利得返還請求権(民法704条)を有していることになります。A社のミスによってテナントからA社に過剰払いが発生してしまっているので,A社は自ら過剰に受け取った水道料金(不当利得)の返還をするべきと考えます。
問題は,いつまでの分を遡って返還する必要があるのかという点です。
この点に関して,不当利得返還請求権は,権利を行使できる時から10年間は消滅せず存在していますので(旧民法167条1項,新民法166条1項2号),不当利得返還請求権を行使できる時から10年間経過していない分については遡って返還する必要があります。
また,不当利得返還請求権者が,権利を行使できるということ自体を認識している必要はないので(大判昭12年9月17日)テナントがA社に支払う水道料金に過剰分があることを知ることが不可能であったという事情は,結論に影響を及ぼしません。
以上から,A社は,テナントが水道料金の過剰分を支払った時から10年を経過していない分については,返還すべきと考えます。
なお,事案によっては,不当利得にとどまらず過失による不法行為を構成する場合もあり,その場合,A社は,テナントが水道料金の過剰分を支払った時から20年を経過していない分については,返還すべきと考えます(旧民法724条後段,新民法724条2項)。

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