隣地からの落雪に対する対応
2021.07.30
当社は,所有している遊休地を利用して青空駐車場を運営しようと考えているのですが,冬になると隣地の建物の屋根から雪が落ちてきて,当社の所有地に積もってしまう状況にあります。遊休地だったのでこれまでは見過ごしてきたのですが,駐車場を運営するにあたり,雪がこちらの土地に落ちてこないように雪止めの設置などの対策をしてもらうことを隣家の方に請求することはできるのでしょうか。
また,もし隣家の方が何も対応してくれない場合には,雪によって当社が被る損害の賠償を隣家の方に請求することなどもできるのでしょうか。
民法218条に「直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の構造物を設けてはならない」という規定があり,「雨水」には雪を含むものと考えられるため,隣家の屋根から直接雪が落ちてきているなら,建物所有者の負担で是正するよう請求することは可能です。法律的には,所有権に基づく妨害排除及び妨害予防の請求という位置づけの請求になります。
なお,建物の落雪に関する問題については行政による取締りの対象となる側面もあるため,市町村の建築指導部等に相談をすることで,隣家に対して市町村からの指導等の対応をとってもらうことが出来る場合もあるものと思います。
また,実際に落雪が生じてしまった場合には,落雪によって生じた損害の賠償を請求することができます。この損害の中には,落雪してきた雪を排雪するための費用のほか,落雪のせいで得られなくなった駐車場の売上相当額なども逸失利益として含まれうるものと思います。